ドリーム2
□知らぬが仏
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「起きてくださいよ………貴女は、私を殺すんでしょう……?」
目の前の彼女は、何も答えてくれない。ただ、笑っているだけ。
「もっと…もっと…!!私を楽しませてくださいよ……!!」
肩を掴んでみれば、あれだけ見たいと、この身に浴びたいと願っていた彼女の血。思っていた通り、美しい紅……でも。
「私が望んでいたのは、こんなものじゃない…!貴女の死は私の手によってもたらされるもののはず……!!戻ってきなさい!」
全く興奮も、快感も、恍惚も得られない。この手に残るのは、喪失感だけ。
「あぁ……私は…」
貴女を殺したくなど……なかったのか。
冷たい体を抱えて、初めて自分の気持ちに気付いた光秀はただただ嘲笑った。自分自身の、愚かさを。もう取り替えしのつかない時の流れを。
知らぬが仏
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