読姫2

□無意識に…
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そして、小さな缶を持ったヒメコが歩いてくるのを見、ボッスンは「おぉ。」と手を挙げた。
ヒメコの顔が少し赤みを帯びているのに気づき、申し訳なさそうな顔になる。

「ごめんな。また寒い中、一人で歩かせちゃって。」
「ななな、なんやてぇ!?」
「な、何そんな慌ててんだよ。変なヤツだな。」
「なんやてぇ!?ア、アタシは変態ちゃうわ!」
「言ってねーよ!?つーかそれより、何買って来たんだよ。」
ヒメコはびくっとし、そっと手に持っていた缶を差し出す。

「おぉ。コーヒーじゃん。サンキュ。」

ボッスンは普通に缶を取ったつもりだったが、ヒメコは少し動揺した。

(手っ…、手ぇ触れ…)

「まあ、欲を言えば今はコーラな気分だったけどな!!」

ヒメコは手を見ながら、言った。
「分かった。チュウさんのトコ言って中身入りのコーラ瓶持って来たるわ。ちょお待っとってな。」
「嫌です。ごめんなさい。」

(良かった…、普通に喋れたわ。…うぅ、今日は何でこんな意識しとんのやろ。)

「ま、いっか。いただきます。」

ボッスンがプルタブを起こすまで、ヒメコはもじもじしてボッスンを見ていた。

ごく。

「あ…!?」

いきなりボッスンが叫んだので、ヒメコは飛び上がった。
「これめちゃくちゃうめー!どこで買ったんだよこれ!!」

「あ…、そらそやろな。」
「いや何でだよ。お前が作ったんじゃないだろ、このコーヒー。」

(まあ、だって…)

(『アタシ』っつう隠し味が入っとるからな。)









「まあ、それにしても…」

ぎく。

「お前、雪で濡らしすぎ。缶ビショビショじゃねぇか。」

「あぁ、(ほっ)スマンな。」



「なんか、飲み口も濡れてたし…」



「そそそそそ、ソンナン心配センデエエネン!中身ニ影響無インヤカラ気ニスンナ!」

「何でちょっと片言なんだよ。そんな大声で叫ばなくても…」








少女が少年への思いに気付くまで、後もう少し。





 
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