読姫2

□無意識に…
1ページ/6ページ

タバコを吸っている人に負けないぐらい白い息が口から出る、雪の降る放課後。

「…」

体育館倉庫前に、ヒメコは居た。
何回も時計と自分の目の前に広がる道を見比べ、ぶつぶつ呟いていた。

「ア・ホ・かっ!!」

いきなり叫んだ。
少しカリカリしているようだ。

「ホンマ何しとんねんアイツらっ!アタシは確かにこの耳で聞いたで!?待ち合わせ時間、1時!!!1時言うとったよな!?」

一気に言いたい言葉があふれ出す。

「今2時やで!?連絡も無いし、人をこんなトコで待たすし!何様やねんあいつらぁ〜!!」

そこで一息着き、

「はぁ…、寒い…

その場にずるずると座り込んだ。
手をこすって小刻みに震える様子は、さながら小動物のようであり、普通の男…いや、人類の誰もが、


「…可愛い」


と、言いたくなってしまう。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ