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□蜜ノ様/ヴァン
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青い空はいつしか真っ赤な空に変わっていた…
【彼は何も言わなかった】
今日するべき仕事を片付けてようやく家へ帰るヴァン
ドアを開ければ自分の愛しい人が待っていた。
「ぁ!お帰りなさい、ヴァン!!」
「あぁ」
上着を脱いでソファーにかける。
「今日のお仕事は終わったの?」
ヴァンが何の仕事をしているのか、私は知らない。
「あぁ、今日は早く終った。」
貴方は私の腰に手をあてて…優しく抱き寄せた。
「…それは、良かった。」
本当に私は何も知らないのね……貴方のこと
「…ん?どうした、元気が無いようだが?」
貴方のせいよ
「ぇ?……ぁ、何でもないわ;」
赤い空も、もう無くなる。
漆黒の空がこの世を支配するのね。
「何かあるなら、言ってくれないか?」
聞いていいの?
「………」
私は、聞いていいの?
「ヴァン。」
「あぁ」
「貴方…この―……」
「この世界を消すつもりなの―…?」
私だって、聞いてた。
買い物に街へ行った時、話してるのが聞こえたの。
"ねぇ、聞いた?外殻が落とされるって話"
"聞いたよ。なんでも噂じゃ、六神将の奴らがやってるらしいじゃないか"
"中でも怪しいと噂されるのは、ヴァン謡将らしいぞ"
頭が真っ白になったわ。
そんなはず無いと思ったのに…
漆黒の空には星が散りばめられ、大きな月が顔を出す。
何か答えて。
違うと言って。
どうして何も言ってくれないの?
「………。」
彼は―…
彼は結局―…
彼は何も言わなかった
ただ、ただ…貴方の全てを知りたかっただけなのに……何も言ってくれないの?