神桜鬼

□第一話
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兄上‥

皆‥どこ?





独りはもう嫌だ
また独りになるくらいなら

全て‥
ワスレテシマイタイ‥








********









ハァハァ‥





『琥珀!あいつらは一体なんなの?』
「ニャー(さぁな)」





髪は白く染まり、瞳は赤く狂った
血を欲する人間が

奇声をあげて襲いかかってくる





キャハハハハハハッ!


『くぅっ!』


ガキィィィィィィンッ!





奴等を刀で弾くが‥


人間‥なの?





(タスケテ‥タスケテ‥)





化け物から声がして頭がズキズキする‥





次第に目まで霞み出し、
立つ事すら出来ず膝をついてしまった




“私も‥これまでか‥”




来るであろう痛みに目を閉じ
心を決める




ザシュッーーーー

ドスッ!!




しかし、覚悟を決めた刹那
痛みではなく辺りには鋭い太刀音が響き




ドサッ!




白髪の人間が倒れた背後から
浅葱色の羽織を靡かせた男が現れた






??「君、女の子なのに強いねー」





この様な状況なのに
目の前の翡翠の瞳の男は至極上機嫌

私は既に限界に近い
壊れそうな痛みを必死に耐えていると




??「‥‥どこか痛むか?」




また別の今度は藍色をした瞳の男が
私を覗き込む



??「一君優しいねー。見られたのにさ!」

??「‥‥‥‥」

??「どうする?斬っちゃう?」

??「取り敢えず屯所へ連れ帰り、副長へ報告だ」



“冗談‥じゃない‥”



??「真面目だね〜。ところで君の名前は何て言うの?」


“私は颷極の‥姫だ‥”





『‥‥ひ、颷‥極‥』








“人間などに‥屈しない‥‥





バタンッ





??「ちょっとっ?!」





意識が薄れて行く中で兄上を見た


触れようと手を伸ばすが



‥届かない‥



















モウ‥ワスレテシマイタイ














ゼンブ‥ワスレタイ












ワスレナサイ‥、紗綬‥











消え行く中

最後に見た
兄上のお顔は優しく微笑んでいた

,

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