神桜鬼
□第六話
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私は一人縁側に腰かけ月を眺めていた
(南雲薫‥。私を仲間だと言った。人間に相当な恨みも抱いている様だった。人間って彼も人間に見えた。‥一体なんなの?)
頭には嫌でも過ぎる先ほどの事
土方「ちょっといいか?」
気配に視線をやると‥
『土方副長‥‥』
彼は隣に腰かける
土方「斎藤達に聞いたよ。不思議な奴にあったと」
『はい‥。仲間だと言われました』
土方「仲間‥か。お前はどうしてぇんだ?そいつらんとこ行きてぇのか?」
いつも鋭い視線の副長
しかし、今日は本当に優しい眼差しで
『私は‥私は皆さんと一緒に居たい。たった独りで記憶もない私を受け入れてくれた。でも、不安なんです。屯所へ来て日の浅い私が仲間面していいものなのか‥。いつかまた独りになるんじゃないかと‥』
その温かい瞳につい本音が零れ落ちた
土方「夜月‥」
『独りになるのが怖い‥』
目からは不安が形になり
大粒の涙が溢れる
土方「お前の居場所はここだ。他のどこでもねぇよ。日が浅いだぁ?んなことは気にすんじゃねぇ。夜月、お前はもう立派な俺達の仲間だ」
近藤「そうだぞ!夜月くん!」
『近藤局長‥‥』
沖田「そうそう♪土方さんなんてもうすっかり夜月ちゃんに骨抜きですからね!」
土方「総司ぃぃぃ!!」
沖田「うっわ!!クスっ照れてるんですか?土方さん!」
背後から出てきた
彼らに目を見開いていると
副長は立ち上がり、
沖田組長を追って去って行った
原田「もう皆仲間だと思ってんだ!女は遠慮なんかすんな」
藤堂「そーだぜ!夜月!俺らが居るんだ!もう一人じゃねぇぜ」
永倉「夜月ちゃんはもう立派な俺の妹分だ!な?」
『皆さん‥‥』
斎藤「‥此処があんたの居場所だ」
『く、組長‥‥‥』
原田「泣き虫だなぁ!夜月は」
原田が夜月の頭を撫でる
藤堂「ちょっと左之さん!夜月に触んじゃねーよ!」
近藤「はっはっはっは!皆が一致団結するのは微笑ましいものだ」
山南「ぇえ。そうですね」
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あったかい
“‥此処があんたの居場所だ”
此処が私の居場所
私の‥‥帰る場所‥