神桜鬼

□第六話
2ページ/2ページ






********






私は一人縁側に腰かけ月を眺めていた




(南雲薫‥。私を仲間だと言った。人間に相当な恨みも抱いている様だった。人間って彼も人間に見えた。‥一体なんなの?)


頭には嫌でも過ぎる先ほどの事





土方「ちょっといいか?」



気配に視線をやると‥



『土方副長‥‥』





彼は隣に腰かける





土方「斎藤達に聞いたよ。不思議な奴にあったと」

『はい‥。仲間だと言われました』

土方「仲間‥か。お前はどうしてぇんだ?そいつらんとこ行きてぇのか?」




いつも鋭い視線の副長
しかし、今日は本当に優しい眼差しで




『私は‥私は皆さんと一緒に居たい。たった独りで記憶もない私を受け入れてくれた。でも、不安なんです。屯所へ来て日の浅い私が仲間面していいものなのか‥。いつかまた独りになるんじゃないかと‥』



その温かい瞳につい本音が零れ落ちた



土方「夜月‥」






『独りになるのが怖い‥』







目からは不安が形になり
大粒の涙が溢れる







土方「お前の居場所はここだ。他のどこでもねぇよ。日が浅いだぁ?んなことは気にすんじゃねぇ。夜月、お前はもう立派な俺達の仲間だ」

近藤「そうだぞ!夜月くん!」

『近藤局長‥‥』

沖田「そうそう♪土方さんなんてもうすっかり夜月ちゃんに骨抜きですからね!」

土方「総司ぃぃぃ!!」

沖田「うっわ!!クスっ照れてるんですか?土方さん!」




背後から出てきた
彼らに目を見開いていると

副長は立ち上がり、

沖田組長を追って去って行った





原田「もう皆仲間だと思ってんだ!女は遠慮なんかすんな」

藤堂「そーだぜ!夜月!俺らが居るんだ!もう一人じゃねぇぜ」

永倉「夜月ちゃんはもう立派な俺の妹分だ!な?」




『皆さん‥‥』




斎藤「‥此処があんたの居場所だ」

『く、組長‥‥‥』

原田「泣き虫だなぁ!夜月は」




原田が夜月の頭を撫でる




藤堂「ちょっと左之さん!夜月に触んじゃねーよ!」

近藤「はっはっはっは!皆が一致団結するのは微笑ましいものだ」

山南「ぇえ。そうですね」



********















あったかい











“‥此処があんたの居場所だ”















此処が私の居場所

私の‥‥帰る場所‥
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ