神桜鬼

□第六話
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夕餉を終えて浅葱色隊服に見を包み
巡査へ出かけた







『組長、主に新選組とはどの様な事をなさるのですか?』






斎藤「あんたは何も知らずに隊士になると決めたのか」

『‥‥‥‥』





(選択肢は隊士になるか《死》だったじゃない‥‥)





斎藤「新選組の仕事は京の治安を護る事。不逞浪士を取り締まるだけでなく、食い逃げ、喧嘩の仲裁など仕事は大なり小なりと様々だ」

『護る仕事‥‥素敵ですね』

斎藤「だが護っていたとしても新選組とて人殺しの連中だ。偏見をもたれる事も多い」

『そんな!だって民を護っているんでしょう?!』

斎藤「そのうち分かる」




物申したくなったが遮られた言葉





沖田「夜月ちゃん♪」

「『総司/沖田組長』」





斎藤「そちらはどうだ?」

沖田「なーんにも。平和なもんだよ」

斎藤「そうか」






組長達が話し込んでいる時‥






《おいで‥》



《‥おいで‥‥》







(何?誰かが呼んでる‥)








頭の中に声が響き
声のする方に吸い寄せられる様に歩き出した





*・*・*







無意識に進めた足に気付き
後ろを振り返ると辺りは暗闇で


元来たの道すらわからない


不安が込み上げてくると

グイッ!

誰かに腕をつかまれた





『なっ?!誰っ!』






刀に手をかける

??「‥会いたかった‥」








目の前には黒いマントを羽織った男の姿
愛おしそうに慈しむ眼差しに

敵意は感じられず

少しだけ警戒心を解いた







『‥あなたは誰?私を知ってるの?』

??「俺の事がわからないの?紗綬‥」





そっと頬に触れられ
温かいその手は懐かしい様な

漂う気配は知っているような
何とも言えない感じがする

感じるのは彼が決して《敵》ではないと言う事





『‥記憶がないの。紗綬って、私の名前‥?』

??「‥‥君をこんな目にあわせた人間を絶対に許さない。俺は南雲 薫。紗綬の仲間だよ」

『な‥‥かま‥』

南雲「さぁ、一緒に行こう」




確かに敵意はない
だけども強引に腕を引かれると

襲われる恐怖





『‥‥待って!‥‥嫌っ!斎藤組長!!』

ヒュッッッ!





叫んだ刹那、
南雲と夜月の間を刀が割いた





沖田「どうしてそこで一君を呼ぶかなぁ」

『沖田組長!』

斎藤「貴様、何者だ。何故夜月を狙う」

南雲「チッ!」





南雲はフワッと屋根の上に飛び乗った





南雲「お前達、新選組か。夜月、ねぇ‥。フンッ。お前ら人間に彼女の名を教えてやる価値もない。
必ず迎えにくるからね。待っててね。夜月」






彼は夜月に向かって優しく微笑むと
暗闇に姿を消した






斎藤「一体何だったんだ」
沖田「ねぇ夜月ちゃん。知ってる人?」


『いいえ。でも彼は私を知っていたみたいです‥。それ以外は何も‥』


斎藤「とにかく夜月を屯所へ戻す」
沖田「そうだね」















巡察の途中、私は屯所へ送られ組長は
再び夜の町へと消えた
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