神桜鬼

□第八話
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土方「‥‥‥‥‥」

『土方副長?』




副長はジッと私を見つめて
視線を逸らさない





土方「‥‥【颷極 紗綬】と言う名の女だ」




永倉「颷極って!夜月ちゃんか?!」

土方「夜月は颷極って話した言葉を総司が聞いただけだ。コイツが颷極だと断定も出来ねぇ。だが、皆頭にいれといてくれ。幕府の密命と【颷極 紗綬】を狙う奴がいるってことを」

原田「って事は夜月を幕府に渡さねぇって事だな?」

土方「ぁあ。」






一瞬、総司さんと目が合う

私は皆の顔を見る事が出来なくて
俯いたまま‥







(私の存在が、新選組の皆を危険にさらすのかもしれない‥)


それが堪らなく恐ろしかった‥








********








私は居ても立ってもいられなくなり
先に部屋へ戻り先日の池田屋事件を
思い出していた








『風間千景‥彼なら何かわかるのかな‥』



ニャーっ






私が呟けば
どこからかやってきた猫が一匹



(良く見るとこの猫、あの時池田屋にいた‥)



手を伸ばそうとした時‥




ニャー
(知りたいか?
全てを思い出したいか?)




急に頭に響く猫の言葉




(この猫の言葉がわかる?!)




驚きながらも猫に問うた


『知りたい。全て。大切な物を護るために』



ニャー
(現実は残酷だったとしても?)

『ぇえ』

ニャー
(着いてこい。案内する)





********






置手紙を置いて屯所を後にしようとした






その時っーー






沖田「やれやれ。やっぱり行くんだ」





振り返ると何時の間に居たのか
総司さんが立っていた



『総司さん!』

沖田「彼奴らの所へ行くの?」

『はい‥。私を取り戻して、また新選組に帰ってきます。私の居場所は此処だから‥』

沖田「‥‥だ、そうですよ!土方さん」




『え?』




直後、物陰から現れた幹部隊士の皆さん




土方「一人で全部背負い込むんじゃねぇよ。」

原田「夜月、お前には俺たちがいるだぜ」

藤堂「絶対帰って来いよな!」

土方「総司と斎藤を連れていけ。自分とやらを取り戻して‥必ず帰って来い」




『‥‥っ!はい!!』




皆の言葉に瞳から大粒の涙が溢れる

帰る場所、待ってくれている皆がいる

何があっても‥大丈夫‥





沖田「行こう、夜月ちゃん」
斎藤「行くぞ、夜月」





『はい!!!』







ーーーーーーーー















夜月こと、紗綬は
琥珀色の猫の案内の元、風間千景の元へ




待っている




残酷で悲しい過去に逢うためにーーー





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