神桜鬼
□第八話
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真っ暗な中、光が見えた
これは‥夢‥?
光の中で兄妹らしき2人が寄り添ってる
??「紗綬。紗綬、ごめんな」
私‥この人知ってる‥
『兄上。紗綬は皆に、兄上に愛されて幸せです。だからどうか泣かないで』
貴方は‥誰?
私は‥‥
??「こんな所で一人なんて‥‥寂しくないか?紗綬」
『兄上が会いに来てくださるから寂しくないです。ありがとう!兄上‥‥』
私は、どこかの城の座敷牢にいた
ずっと一人で‥
********
『んっ‥‥』
良くわからない夢から覚めると
見慣れた天井があった
沖田「夜月ちゃん!大丈夫?」
心配そうに顔を歪ます沖田組長
『沖田組長‥私‥』
沖田「具合はどう?もう三日も眠ったままだったんだ」
『すみません、ご心配をかけて』
沖田「僕、皆に知らせてくるね」
化け物紛いだった私に何も問わない彼
『あの!組長‥』
沖田「ん?なに?」
『何も‥‥聞かないんですか?』
沖田「記憶喪失の子に聞いても何もわからないでしょ。それに‥僕たちだけの秘密なんて素敵だと思わない?」
ニヤリと微笑みながら囁かれ
とても優しい眼差しと笑顔向けられた
『沖田組長、ありが「総司」
『え?』
沖田「君が記憶を取り戻すまで黙っててあげるから僕を名前で呼んでよ」
く、組長をお名前で呼ぶなんて‥
恐れ多い言葉に躊躇うけれど当の
組長はニコニコと“早く♪”と急かしてくる
『ぇっ‥、そ、総司さん‥』
沖田「もう一度」
『‥総司さん‥』
沖田「よく出来ました、じゃあ知らせてくるね」
総司さんは私の頭を優しく撫でて
部屋から出て行った
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身なりを整え広間へ向う
そこには藤堂組長も居て
無事がわかると安堵に肩を下ろした
近藤「いやぁ、本当に皆無事で良かった!」
土方「まぁ怪我人は出たが死人は少ねぇ。不幸中の幸いだな」
沖田「ところで土方さん、今日は何の集まりですか?」
土方「幕府から密命がおりた」
原田「直々にか?!すげぇじゃねぇか!」
近藤「幕府も我々の力を認めてくださったのだ!‥長い道のりだったなぁ‥!」
藤堂「で、土方さん。内容は何なんだ?」
土方「人探しだ」
「「「「「人探し?!」」」」」
原田「おいおいおい、泣く子も黙る新選組が迷子探しかよ!?」
土方「仕方ねぇよ。幕府からの密命なんだ。やるしかねぇだろ
」
隣に腰を降ろす斎藤組長の眉にも
濃い皺が刻まれている
沖田「で、誰なんですか?」