神桜鬼

□第十話
1ページ/3ページ






風間「だが、一概に過去と言っても際限がない。お前が聞きたい事に答えてやろう」




『私の名前はなんですか?』

風間「お前の名は颷極 紗綬。颷極家頭領、颷極 王綬の妹姫だ」


『颷極家‥。幕府からも狙われている様ですが颷極家とは何なんですか?』


風間「‥‥人間共め‥‥。
奴らはお前以外の颷極家一族を一人残らず滅ぼした輩だ。
そして颷極家とは我等鬼の一族を統治していた、所謂、鬼の王だ」


沖田「鬼って先日見た紗綬ちゃんの姿の事?」


風間「そうだ。姿だけではない。鬼は治癒能力や身体能力も格段に高い。ましてや颷極家は生粋の鬼一族。紗綬は強かろう。それは颷極の女鬼故だ」


斎藤「そんなに強い鬼が何故滅びたのだ?」


南雲「君達が護る幕府のお偉いさん方は汚い事が得意でね。紗綬は和平を保つ為五つの時に徳川へ人質にだされた。颷極家にも徳川から御曹司が人質にやってきた。だけど全部嘘だったんだ」


斎藤「嘘とは?」


南雲「御曹司なんて名ばかりの位もないただの子供だったんだ。徳川の世が崩れる時、彼奴らは紗綬を人質に颷極家に加勢を命じた。王綬が断れず渋っていると今度は颷極が率いる村の女子供全てを殺した。」


『‥酷い‥‥』


風間「ただ死んだのではない。王綬に加勢を決断させるため無抵抗の者達を皆虐殺したのだ」

南雲「そして王綬は従う振りをして紗綬を救いに向かった」

琥珀「数万の敵に数百で挑む。例え鬼が強くても数が違い過ぎました。王綬様以外の鬼達は皆討ち取られてしまった」


『兄はどうなったのですか?!』


琥珀「いくら治癒能力が高くとも王綬様は血を流し過ぎていて瀕死の状態でした。本来なら生きていられない程に。それでも貴女を護りたい、その一心で戦い続けたのです。貴女を城の外へ出すと紗綬を託すと言って亡くなられました」


『兄上様‥』




沖田「どうしてあんた達は助けに行かなかったの?」

??「行かなかったんじゃねぇよ!行けなかったんだよ‥。俺たち不知火家も風間や南雲他の鬼達もな‥」

斎藤「どうゆう意味だ」



天霧「颷極 王綬と言う男は人望も恩義も厚い方でした。颷極一族の為なら命を捨てて戦う鬼は多いでしょう。しかし彼は争いを嫌っていた。颷極の都合でする争いに他を巻き込みたくなかったのでしょう。攻め入る情報も日時も何一つ漏らさなかったのです」



南雲「ずるい方だよ。本当。颷極の都合って、そもそも紗綬を人質に出したのも全ての鬼達を人間の争いに利用されないためだよ?恩も返せずに死んじゃうんだもん。だからこそ‥‥何があっても紗綬は必ず護るけどね」





『南雲さん‥』




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ