神桜鬼
□第十一話
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紗綬17歳
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ザシュッ！！ドカッ！
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ！！」
先程から座敷牢の向こう側で
人の悲鳴や唸り声が聞こえる
(城が攻め込まれているのかしら？
怖い‥‥。
兄上様‥
千景様‥
薫くん‥)
カタカタと震えながら座敷牢の端に縮こまり硬く目をつむる
カダンッ！！！
－鉄格子が外れる音が響く－
死を覚悟し、かたく手を握った
けれど待っていたのは鋭い刃ではなく‥
王綬「紗綬！！」
『ぁ、‥兄上？！‥』
突然現れた兄に私が驚いていると
家臣「王綬様！早く！紗綬様を！くっ！！？」
ザシュッ！！
王綬「ちっ！人間めっ！？話は後だ！とにかく来い！！！」
有無を問わさず兄に連れられ城の出口へ向かう
途中の廊下は血飛沫と死体だらけで蒸暑さと血の匂いがして吐きそうになった
「いたぞ！颷極の頭領だ！打ち取れーーー！」
王綬「くそっ！」
ガキィィィィィィィン！
王綬「？！」
王綬と紗綬の前に琥珀と琥珀の一族が立っていた
『琥珀！！皆！！』
琥珀「颷極家護衛総長、薄河琥珀！頭領の敵を討ち滅ぼす者！！！皆、行けぇぇぇえ"っ」
『琥珀！！嫌だ！琥珀！』
王綬「琥珀‥！！‥‥くっ、行くぞ紗綬！！」
『琥珀っっっっ！！！』
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私達は琥珀のおかげで城から出ることができたが、それでも追ってはかかる
だけど兄上は恐ろしい程の強さで
私を護ってくれた
それなのに
惨状の中、兄上に手を引かれていた私は気付かなかった
兄上の青白く血の気のない顔に‥
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ザシュッ！！
一本の刃が兄上を深く貫く
王綬「‥くぅ"‥」
兄上から夥しい血飛沫が舞う
王綬「どけ！邪魔だぁぁぁ！！」
人間を斬り前に進むが兄上の傷は治らず
止めどなく赤黒い血が流れ出た
『傷が塞がらない‥‥』
王綬「妖刀か‥っ‥術のかかった刀‥だったんだろう」
ガサガサ‥‥
『兄上！兄上！！人間が！』
王綬「くそっ‥！もう追ってきたのか！」
逃げに逃げて、やっと城の塀の外にある深い森に着いた
王綬「紗綬、お前は逃げるんだ」
『嫌です！やっと兄上に会えたのに‥私も、私も共に逝きます！』
王綬「遺すんだ。割れら颷極家の血を！そして何より生きろ！幸せに‥どうか幸せになってくれ！」
王綬「兄の最後の頼みだ‥‥」
『‥兄上‥様‥』
王綬は出せる限りの力を振り絞って紗綬を抱きしめた
紗綬もまた焼き付けるように兄を抱きしめる
『兄上様‥大好きです‥』
王綬「‥‥当たり前‥だ‥ろ」
そして紗綬を抱き締めていた腕を解き、腰から純白の刀を手に持ち紗綬の胸元に突き刺す
するとスッと身体の中へ消えてしまった刀
王綬は手を翳し禁術を唱え始めた
王綬「我の肉体より力を引き出せ、力の主は王の元へと還れ。颷極の全てを紗綬王へ。
汝、[神桜鬼]なり」
瞬く間に紗綬の身体は眩い光に包み込まれる
『兄上‥‥！』
手を伸ばしても届かない
王綬「さら‥ば‥だ」
『嫌よ！嫌！！！兄上ぇぇぇぇ！』
優しく笑う兄上が視界から消え
私は意識を手離した