神桜鬼

□第十一話
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目の前に闇が広がる



全部飲み込まれてしまいそうな



暗闇が‥‥






*********











『父さま、母さま、どうして泣くの?』








*********

私の‥‥記憶?

人間の元へ行く時の、記憶‥

*********








父「お前を人質に出す父と母を許しておくれ‥」

『私は大丈夫です!私が行けば皆が仲良くなるのでしょう?ならば私は喜んで人間の所へ行きます。だから悲しまないで!ね?』

母「紗綬‥‥。紗綬‥ごめんなさい‥」






父も母も何度も何度も私を抱き締めてくれた

優しくて大好きな父さまと母さま






けれど、何より大好きなのは‥






『兄上さまっ!』







漸くいらしてくれた兄上に駆け寄り、思い切り抱き付く

その力強い腕でぎゅっと抱きしめてくれるけど、表情は悲しみに染まっていた






『反対していたからお見送りも来て頂けないかと思いました!』

王綬「‥どうして紗綬なんだ‥。どうして‥。父上もどうして幼い紗綬を行かすんだ!行くなら俺を‥‥‥!」





ぎゅっ‥

私は兄上を力いっぱい抱きしめる






『兄上さまは父さまみたいな[とおりょう]になるんでしょう?そしていつか私を迎えに来てくれるんでしょう??』




見上げた私に目を見開きながら、困ったように微笑んで頭を撫ででくれる




王綬「ぁあ、もち「紗綬は俺が迎えにゆく」」




言葉を発しようとした王綬を恐れもなしに遮る声





王綬「千景!!!」
『千景さま!?どうして此処に?』

風間「将来、俺に嫁ぐ紗綬を見送りに来たのだ。辛い事があればいつでも知らせろ。必ず何としても連れ出してやるからな」


『千景さま‥とつぐってなぁに?』


風間「ふっ。紗綬の父と母の様に家族となるのだ。お前は俺が好きだろう?」

『うん!大好‥‥』



私が「大好き」と返事をしようとしたら兄上に口を塞がれる



王綬「千景!!!絶対紗綬はやらな「あげないよ」」




又もや恐れもなしに王綬の言葉を遮る男




雪村「俺が紗綬をお嫁さんにするからね。風間おじさんは引っ込んでてよ。紗綬、風間じゃないけど嫌な事されそうになったら逃げるんだよ!必ず迎えにいくからね」



風間と雪村薫がバチバチと火花をちらす中、王綬は紗綬を抱き上げ



王綬「どうして薫までいるんだ!!!それにお前らだけには何があっても絶っっっっっ対やらん!!」

『あはははっ♪私兄上さまも千景さまも薫くんも大好きっ!皆でとつげばいいんだよ♪』

雪村「王綬は仕方がないとして、風間と家族ってのは勘弁してよ‥」

王綬「仕方がないってなんだ!それにこっちから願い下げだ」

風間「では雪村、紗綬が嫁いだ暁にはお前は俺の小姓にしてやろう」

雪村「はぁ?風間、頭おかしくなったんじゃない?」
風間「なんだと‥‥」



バチバチバチバチっ!!



王綬「千景!!薫!!いい加減にしろ!!!紗綬を見送りに来たんだろう!!喧嘩しに来たなら帰れ!」

『ふふふ♪』







*********







わらってる





父さまも母さまも笑ってる



兄上さまも‥‥








良かった








ありがとう

千景さま、薫くん










紗綬は必ず皆をまもってみせるから

兄上さまをよろしくね












*********















その後城に着いた私は




客人として扱われる所か、12年間座敷牢へ居れられ一切の自由を失った




でも、琥珀が居たから寂しくなかった




勉学も剣術も世の事も全て琥珀が教えてくれた




兄上さまも千景さまも薫くんも
文をくれたり、こっそり会いに来てくれた




座敷牢でも辛くなかった




だって皆は私を忘れず愛してくれたから









だから












私が牢にいることで鬼達(皆)が傷つかず平和に過ごせるならそれで良かった















それなのに壊した














人間が




















己の私欲のために‥‥
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