神桜鬼

□第十六話
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ん…ここは…









紗綬「組長?!組長!!」


目を覚ますとそこには大粒の涙を流し俺を見つめる紗綬が居た


斎藤「声が…聞こえたのだ」




俺は紗綬の涙をそっと指で拭った



紗綬「え?」
斎藤「紗綬を守れと…、刀を…引き抜け…と…王綬が…言っていた」

紗綬「……兄上…が」



紗綬は残りの涙を拭き
しっかり前を見据えた

そして斎藤の手を取り胸元に置いた



斎藤「…っ…紗綬?」
紗綬「…組長は私を信じて下さいますか?」

斎藤「ああ。俺はあんたを、紗綬を何よりも信じている」



二人は慈しむ様に微笑み合い紗綬は目を閉じた








紗綬「………私の中に眠る魂よ。己に従い主を示せ」







それだけ紗綬が唱えると彼女の身体から眩い光が立ち込め斎藤の手の平に刀の様な物が当たっていた







紗綬「主の血となり肉となり、魂の限り主を守れーー」
斎藤「愛しい者を傷つけぬ力を、紗綬を守る力をーー」







斎藤は刀を引き抜く















そして…姿が変わる…














額からは角が生え

髪は白銀に染まる

傷は塞がり

瞳は月の様に黄金に輝いた










汝、[  破王鬼 ]  成り










斎藤「俺は…」
紗綬「……鬼……」




斎藤は刀を見据えると
キッと前方を睨み意志を固める

そしてゆっくりと振り返り紗綬を見た




斎藤「行くぞ。紗綬。王綬を救い、全て終わらせる」
紗綬「はい!!」










二人は来た道を引き返した










王綬の力を受け

神桜鬼となった颷極紗綬



王綬の魂を受け鬼となった

破王鬼こと斎藤一

















二人が揃うと






万物は創生される





そして無に還される





本来の在るべき姿へ…
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