book*小説
□ちゅーりっぷはーと
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ある日シャボンディの酒場で仲間と酒を飲んでいた。
「…あの女、なんか酒場に似つかわしくないですね」
クルーの一人が言った言葉。
そいつの目線を辿っていくとカウンターに確かに酒場には似つかわしくない女が座って新聞を広げていた。
何やら店主と親しげに話している。
一目惚れ
当てはめるとしたら、そんなところか。
どこにでもいるような普通の女なのに なぜだかとても惹かれた。
俺がそいつを目の端で捉えながら酒を飲んでいると何やら視線を感じる
「…あいつァだれだ…」
「あぁ…海鳴りですよ」
海鳴り? 聞いたことがある名だ。
…ちっ
こっちをジロジロ見やがって…
ふとカウンターの方に目をやるとさっきの女がこっちを見てい
…目があった。
ほんの一瞬だけ。
直ぐに新聞に目を落としてしまったその女に 胸が締め付けられた。
そんな俺を知ってか知らずか
…まァ 知るわけはないが。
先程と同じくこちらを見ている海鳴り。
…しゃくにさわる野郎だぜ。