book*小説
□ないとめあ
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甲板では船員たちが慌ただしく走り回っていた。
「名無しさん!」
『あ、キラー!』
「こんな所に来ると危ないぞ」
『ん、大丈夫』
「…そうか。気を付けるんだぞ。俺とキッドは向こうの船に乗り込む。名無しさんたちはこの船に残って応戦してくれ」
『うーす』
敵戦がどんどんと近づいてくる。
砲弾はキッドたち主戦力によって跳ね返されていく。
そして敵戦が目と鼻の位置に来ると始まる乱闘。
あちこちで聞こえる金属のぶつかり合う音や発砲音、叫び声。
「へっへっへ…イイ女が居んじゃねーか。殺すのはもったいねーな」
剣を片手に下品な笑いを浮かべながら近寄ってくる敵の男
『ありがと。でも私、不潔な男って嫌いなんだよね』
「あ゙ぁ!?」
男が口を開けた瞬間、顎に思いきり蹴りを入れる。
男が顎を押さえると間髪いれず脇腹にさらに一発蹴りを食らわす。
ぐあぁ と言ってしゃがみこんだ男の後頭部を鞘に入れたままの短剣で思いっきり殴る。
男はどさりと床に倒れこんだ。
『…ふぅ。』
久々に戦ったから緊張した〜。
もっと腕が落ちているかと心配していたが、普段からヒートたちと実践練習(というより、取っ組み合いのケンカ)をしていた甲斐があった。
こういうのは組み手的な感じで行けばいいのよね。
私も本格的に戦闘に参加しようと顔をあげた瞬間だった。
後頭部に鈍い痛みを感じた。
あ、やばい。
怪我したら、キッドに怒られちゃう…
そう思ったのを最後に、私はそのまま意識を手放した。