book-S*短編小説
□愛する
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ガチャ
「どうした?」
「名無しさんが買ってきた缶詰がねェって騒いでんだが、知らねェか?」
「…知らないな」
「そうか。そりゃそうだよな。悪ィな」
「問題ない」
バタン
ドアを閉めて ベッドを振り返ると毛布の上にちょこんと座っていた。
「危ないからキッドが来たら隠れろよ?」
そういって俺が頭を撫でると鈴を転がすような声で君は返事をした。
「ニャーン」
「よしよし」
そうだ。缶詰があったから開けよう。
俺の大好きな君に
君の大好きな
鯖の水煮を。
*END*