book-S*短編小説
□餞別
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「おう、帰ったぞ…って なんだこれ」
『ん?ケーキ』
「んなの見りゃわかんだよバカ。何のケーキだよ」
『…こんぐらっちゅれーしょんけーき』
「あァ!?なんだって?」
私とキラーが用意したケーキ
もちろん、キッドの合格祝いの
状況が飲み込めないキッドに合格通知の封筒を渡す
「なんだよこれ」
渡した瞬間険しい顔になるキッド
『合格通知』
「はァ!?俺受かったのかよ!?」
『おめでと〜』
「いかねェ」
私があからさまに棒読みで言うとキッドは険しい顔のまま言った
『ん?』
聞き間違い?
「俺はいかねェ」
『…はぁ!?バカじゃないの?!あんな有名大学に受かったんだよ??行きなさいよ』
「うるせェ。名無しさんが決めることじゃねェだろ」
「俺も行った方がいいとおもうがな」
お手製のパスタを片手にキッチンから出てきたキラー
「あァ!?」
「お前、どれだけ親の期待を裏切る気だ?そろそろ親孝行してもいいだろう」
「…」
キッドの父親は有名な重工業会社の社長で、一人息子で昔から天才的な資質を持っていたキッドは親戚一同の期待の星だった
「20ヵ国に支社を構える程の大会社の社長が高卒って訳にもいかないだろう」
「…知るか」
そういうと踵を返して
また、外に出ていってしまったキッド
「全くあいつは…」
『ほんと。入りたくても入れない人だっているのに』
「違いない」