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□オオカミ少年
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「おい山崎!総悟はまたサボりか?」
「そうみたいですね。あの俺、探してきましょうか?」
サボりの常習犯の総悟を迎えにいくのは
だいたいいつも山崎の役目だった。
「いや、俺が電話する。
今日こそビシッと言ってやる。」
そういってケータイを取り出した。
呼び出し音が聞こえ、しばらくして総悟が電話を取った。
「てめぇ、どこにいやがんだ!毎日のようにサボりやがって」
いきなり怒鳴ってやったのに、返事が返ってかなかった。
「聞いてんのか?」
「ひじかたさん、俺、拉致られたみたいなんでさァ 」
弱々しい声が聞こえた。
「拉致られた!?怪我は?」
「怪我はねぇんですけど、手足が縛られてるもんで」
怪我がないと聞いて少し安心した。
電話できてるところを見ると、犯人は近くにいないようだ。
「場所はわかんねぇのか?」
「桜田西公園のトイレん中でさァ
真選組副長をここへよこせと、それもたった一人で」
くそっ どこかの攘夷志士の仕業か。
「総悟すぐ行く。それまで絶対やられんじゃねぇぞ。」
俺が電話を切ると、山崎が心配そうに近づいてきた。
「どうしたんですか?沖田隊長なにかあったんですか?」
「山崎、お前先に屯所帰ってろ。」
訳が分からないといった顔をした山崎をおいて
俺は桜田西公園へ急いだ。
この公園のトイレは全部で3か所あった。
平日のこんな時間に公園にいるものは少なく、
ドアの閉まっている個室は、一つしかなかった。
ドアを思い切り蹴り、勢いよく開いた個室の中には、大量のマヨネーズで書かれた言葉。
『バカ土方 マヨネーズ中毒で死ね』
それを見た瞬間気づいた。
「総悟のやろぉ またハメやがった!」