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□思い破片(後)
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寝巻きを着替えて襖を開けると、懐かしすぎる顔が座っていた。


「トシ・・・!」

客って、トシのことだったのか


「久しぶりだな、今日はガキはいないのか?」

そう言って口元だけで軽く笑った。
2年前と変わらない仕草


「神楽も、もう年頃だからな。
お妙の家で寝泊まりしてんだ。」

お妙の名前が出ると、一瞬顔が引きつった。


「そうか、もうガキじゃねぇわけか。
総悟もさすがに成長してんだろうな。」

「お前、真選組には顔出してねぇのか?」

こいつなら、一番に真選組に帰ってると思っていた。

「一番にここに来たんだ・・・
銀時、お前に会いに」

そう言ったトシはとても悲しそうな顔をしていた。

お妙と話したんだろう。
きっと俺たちのことも聞かされている。


「ずっと会いたかった。
江戸を離れてた間、ずっと。
なのに・・・」

「俺だってそうだよ、俺だって、」

「ウソつくなよ!」

トシが声を荒げて言った。

「聞いたんだよ!
お前は俺がいなくなってすぐあの女に乗り換えたんだろ?」

「トシ、落ち着け。」

「寂しかったのは俺だけだったんだな。
お前は俺がいなくたって楽しくやってたわけだ」

「落ち着け!」

トシの目から涙が落ちた。

「うぅ、なんで、なんで・・・」



泣き崩れるトシに俺は淡々と言った。


「悪い。俺はお前を待ってやれなかった。
お前を愛し続けることができなかった。」



トシが泣き止むまで、俺はただ隣で立っていることしかできなかった。
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