〜鬼に魅入られし者〜
□第1話
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あの時、私は鬼となった。
―鬼に魅入られし者―
ここは、京と呼ばれる都。
私はひとり、この地へやって来た。
離ればなれになってしまった友だちに会いに…。
「……ここが、京か…。」
どうやら私は、数日前に平安時代にタイムスリップしてしまったようで、
この京が昔、歴史の授業で習った「平安京」らしい。
もっと綺麗な都なのかなって思っていたけど、そんなことはなかった。
京の人間に話を聞いてみると、それもこれも、「怨霊」というのが京に災いをもたらしているのが原因みたいで。
「鬼が怨霊で人を襲ってくるから」
「鬼が俺たちを苦しめるんだ!」
「「鬼がいるから……!!」」
皆が口々に同じようなことを言っていた。
「…………。」
「だけどね、お嬢ちゃん!」
「………はい。」
「やつらなんかきっと龍神の神子様が追っ払っちまうさ。」
「龍神の…神子…?」
「あぁ、そうさ!」
「神子様が京の怨霊も、穢れも何とかしてくれるんだよ!!」
「………はぁ。」
鬼だ、怨霊だなんだって信じられない。
その上龍神の神子って何!??
漫画とか、オカルトじゃああるまいし…。
その「神子様」がいれば、世界は平和になるのか…。
どんだけ非現実的なんだよ…。
…ま、今こうしてこの場所にいること自体、非現実的なんだけどね…。
こっちに来てからもう何日も過ぎたんだ。
この「今」がもう、私にとっての現実だってことは、受け入れざるを得ない。
「……行かなくちゃ、日が暮れる前に…。」
「あの子の所に……。」
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