TalesShort

□ためらいなく触れる手
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「はぁ!」

振り下ろした剣が魔物の体を両断した。
魔物は灰となり、レンズが地面へと落ちる。

「よし、一匹。次は……」

ケイリーは次の魔物を倒すべく、辺りを見回した。
近くでルーティがスタンを回復している。

グレバムを追って旅をしている道中。
森に入ったところでいきなり魔物の団体に襲われたのだ。
スタン、リオン、ケイリーの三人を前衛に、なんとか数を半分以下まで減らした。
しかしまだ魔物は残っており、こちらの体力は削られていく一方だった。
ケイリーが一人離れて戦っているリオンの加勢に向かおうと駆け出したとき、横から一匹の魔物がケイリーの前へと躍り出た。

「うわ、まだ残ってた、の」

咄嗟にバックステップで下がり、剣を突き出す。
近くにいる魔物は全て倒したと思っていたが、まだ残っていたようだ。
突き出した剣は魔物の爪を弾いた。
しかし、さらに追い討ちをかけるように逆の爪がケイリーに迫る。
魔物の爪はケイリーの太股を掠めた。

「くっ」

剥き出しの皮膚が裂け、じわりと血がにじみ出てくる。
ケイリーは痛みに顔を歪ませながらもそのまま一歩前に踏み込み剣を一閃させた。
そのまま魔物は崩れ落ち、レンズへと姿を変える。
ケイリーはそのまま後ろに倒れるように地面に座り込む。

「大丈夫か、ケイリー!?」

「大丈夫、掠り傷だよ」

ケイリーは聞こえてきた声に強張った笑顔で答えた。
駆け寄ってきたのはスタンだ。
回復を終えて戦線に復帰したらしい。

「私はルーティに回復してもらうから、スタンはリオンの方をお願い」

「わかった」

ケイリーの傷が大したことないのを確認すると、彼女の言葉通り加勢すべくスタンはリオンの方へ駆けていく。




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