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□愛してるで締めくくる
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ケイリーは続きを発するように見せかけて口を開き、そのままリオンの唇を塞いだ。
突然のケイリーの行動に流石のリオンもついていけなかったらしく本日二度目のフリーズをしている。

たっぷり五秒ほど口付けをして、ケイリーはリオンのそれから己の唇をはなした。
まだ放心状態のリオンはケイリーにじっと視線を合わせたまま震える指先で自身の唇を触った。

何が起こったか信じられないって顔してる。
そう思って自然と表情が緩むのが自分でも分かった。
信じられないというよりは信じたくないのかもしれないが。

「貴方が好きです」

リオンの顔を見つめながらゆっくりと告げる。
リオンは大きく目を見開き、その整った唇はパクパクと金魚の口のように動くだけで言葉は一切発せられない。
だから今度は名前をハッキリと告げる。

「私はリオン、貴方のことが好きです」

そう言って触れるだけのリップキスを落とす。
チュッという音が聞こえたからか、はたまたキスの感触でか、我に返ったリオンがやっと言葉を発した。
でもそれは私には苦い苦い音。

「な、僕はマリアンが……」

「うん、知ってるよ。それでも想いを伝えられずに別れるのは嫌だったんだ。
 ごめんね、勝手に奪っちゃって」

「ケイリー、お前は!……そのためだけにここに残ったというのか?」

リオンからまた怒鳴るように発せられた言葉は段々とその勢いを無くしていった。
戸惑うように発せられたこの行動の答えを求める問い。
それにケイリーは静かに頷いた。

「うん」

「お前は大馬鹿者だ」

「うん、それでも貴方のいない世界に生きている自分を想像できなかったんだ」

確かに普通に考えたら信じられないかもしれない。
でもリオン、貴方だって愛の為に、マリアンさんの為にその命を投げ出そうとしているでしょう?
だからリオンなら分かってくれるだろうと思うのは、私の身勝手な我儘かもしれない。
でもこれで最後なのだからそんな些細な我儘は許してほしい。

「ねぇ、リオン。
 私はたぶん次の冒険には一緒にいけないけど、だからこそ心の隅に置いておいてほしいんだ。
 貴方は一人じゃない。いつだって仲間がいるんだって」

「何を言っている?」

「今はまだ知らなくていいこと、かな」

「???」

訳が分からないとまた眉間に皺を寄せるリオン。
これはこれから先の、18年後の物語を知る私が貴方に残せるメッセージ。
一人蘇えらせられてしまうリオンに。



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