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□恥ずかしがり屋のKiss
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「お願い、シャル。ちょっとだけシャッター閉じてて」
ね?と両手を合わせてお願いする。
そんなケイリーの様子にますますシャルティエは困惑した。
『 シャッター閉じててって。せっかく起きたのに。それよりも坊ちゃんに用があるんじゃないんですか? 』
「そうなんだけど、起きてちゃまずいのよ」
『 …………起きてたらまずいって、キミ何をする気ですか 』
「えっと……」
明らかに目を泳がせ始めるケイリー。
『 !! 』
ケイリーがどう説明しようか頭を悩ませていると、急にシャルティエから息を呑むような気配を発した。
幸いケイリーは気付かなかったようでいまだ目線を在らぬ方向に泳がせている。
『 何をしたいかは知りませんけど、早くしないと坊ちゃん目を覚ましてしまいますよ 』
「え!それは困るよ」
『 だったら早く済ませた方が良いですよ 』
「う〜。じゃあシャル、リオンにはこのこと内緒だからね」
『 ハイハイ 』
一応興味はないという感じに生返事を返すシャルティエ。
だが彼は知っていたのだ。ケイリーの企みが失敗することを。
よしと気合を入れて、再びリオンの顔に自らの顔を近づけるケイリー。
ケイリーとリオンの唇の距離が後5センチになった時、リオンがその瞼を開いた。
紫水晶の瞳とバッチリ目が合い、ケイリーは石のように固まる。
そのまま動けないケイリーの後頭部をリオンの手が押さえ、自分の方に引き寄せた。
そしてその勢いのまま、己の口でケイリーの口を塞いだ。
「ん!!ん、んん〜」
突然のことに頭がパニックになったケイリーはなんとか抜け出そうとするが、リオンがそれを許すはずもなく、ケイリーが解放されたのは酸欠になる直前だった。
「っぷはぁっ。はぁ、はぁ……」
「お前は、息継ぎくらい鼻でしろ」
ケイリーが必死に酸素を取り入れていると、下からリオンの呆れた声がした。
やっと呼吸を整えたケイリーが半ば涙目でリオンに問いかける。
「ちょっと何時から気付いてたの!?」
「起きてたらまずい辺りからだな」
リオンはケイリーを放し上半身を起した。
寝起きの割には寝ぼけている様子もない。
「で、お前は人の寝込みを襲って僕の唇を奪うつもりだったのか?」
「いや、これはえっと」
先ほどシャルティエが問いかけた時と同様に、在らぬ方向に目線を泳がせるケイリー。