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□だから言ったのに
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そんなこんなと言い合っているうちにルーティのいる孤児院へと着いてしまった。
まだ言い合いを続けているケイリーとジューダスに着いたよーと声を掛け、カイルが孤児院のドアを開けた。

「ただいまー!母さん!!」

「あらっ、カイル!おかえり!それにロニも」

「ただいま戻りました、ルーティさん」

最近元気の無さ気だったカイルだが、久しぶりの帰郷に自然と帰りを告げる声が弾んでいる。ロニもどことなく嬉しそうだ。
リアラ、ロニ、ナナリー、ハロルド、ケイリー、の順に孤児院の中に入っていく。
ジューダスは最後に中に入り、ハロルドの横に並ぼうとしたケイリーの腕を掴んで引き戻すと、ロニとナナリーの後ろに立たせ自分はその横でルーティに背を向けるように立ち止まった。
突然の息子達の帰宅に驚いたルーティだったが、彼女は笑顔でカイル達を出迎えた。

「それで、どうしたの急に?」

「母さん、オレ……」

ルーティにどう切り出そうか迷っている風のカイルだったが、カイルが話出す前にルーティが分かっていると言わんばかりに笑いながら続きを促した。

「あんた、珍しく何か悩んでるでしょ?」

「えっ!?ど、どうして……?」

自分が悩んでいることを一目で見抜いたルーティに驚いたカイルだったが、ルーティ曰くカイルの父親であるスタンも悩み事や考えごとをしているときに鼻の頭をかくという癖を持っており、カイルも同じだと言う。
カイルはまたも父親と同じ癖を持っていたことを純粋に嬉しく思った。
そして少し考えた後、仲間たちに少し席を外してほしいと頼んだ。
母であるルーティと二人で話しをするために。
ケイリーたちは孤児院の外に出ると、ベンチや花壇など思い思い場所でカイルが出てくるのを待つのだった。





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