続・妄想

□視点
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「オイ…まだ啼けんだろ高杉…?」


――――


「まだ遠くには行ってない筈だ!!探せ!!」


一昨日はおかしかった。鬼兵隊が、高杉が真選組に推されている所なんて見たことがなかったのに。


「高杉…?」


夜中、外を歩いていると、傷を負って真選組にわれている高杉を偶々、本当に偶然、見つけて、家に匿った。もし、近道しようと思わなければ、あんな気味の悪い路地を通らなければ、高杉には会わなかっただろうし、裏を返すと銀時に会わなければ高杉は助からなかった。
殆ど丸一日、高杉は寝込んでいた。何故そんな怪我人に銀時があんな言葉を投げかけているのか。理由はただ、滅多に見られない弱りに弱った高杉の苦しそうに眠っている姿を見ていてた銀時に加虐心が芽生えた、それだけだ。


「やっと起きたか…」


ちゃんと手当てはした。高杉が目覚めるまで側に居たし、目が覚めてからも芽生えた加虐心は抑えていた。


「大丈夫か?何があったんだよ?」


でも、冷や汗をかいて髪が額についてしまっていて、傷を負っている所為でまだ呼吸と表情は苦しそうな高杉を見ていて、生まれた加虐心は何か大きなきっかけもなしに治まることはなく。
銀時は高杉に覆い被さるように、顔の横に両手をついた。


「なァ高杉」

「何の…真似だ」


本来ならば一瞬怯む程の威圧感を放つ片目は、しかめながら銀時を捉えている。


「虐めさせて」


高杉は傷が痛むのを堪えながらククッ…と引きつった笑みを浮かべる。銀時の手は高杉の輪郭に触れ、首筋を通り着物の襟を掴んでいた。


「笑えねェ冗談だな…」

「本気だ」


そう言って一瞬口付ける。


「…っ……」


怯んだ高杉は瞳孔が開きかかっている。


「冗談じゃねェって」
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