続・妄想

□捕らわれて
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ガキィイン ―――

真剣と真剣がぶつかる。
刀を交えているのは高杉と銀時だが、銀時が握っているのは愛用の木刀ではない。それは、無惨にも切り刻まれてしまっている。だから、銀時は高杉から投げ渡された真剣を使うしかなかった。

突然、高杉は銀時の前に現れると、帯刀していた銀時の木刀を蹴り上げ、宙に浮いている僅かな瞬間に切り刻み、そして真剣を投げた。
本当に無駄の無い素早い動きで、油断しきっていた銀時はいきなり斬りかかってきた高杉の剣を受けるので精一杯だった。その中で、

「また隙突かれちまった…アレ、デジャヴ?」

なんて考えるのが、思考の限界だったが、次に大勢を立て直すと、高杉と間をとった。しかし高杉は休む隙を与えずまた斬りかかりにくる。


「オイオイ…何のつもりだよ…いきなり不意ついて来るたァまた卑怯な真似してくれるじゃ…っ、ねェか……。寂くて銀さんに…会いに来たのか?」


圧され気味の銀時がひきつった笑顔を見せながら言うと、高杉はニヤリと口角を上げた。


「本気でかかってこいよ…白夜叉ァ」


妖笑を見せる高杉の攻撃をなんとか避けながら、


「白夜叉ァ?誰だそれ。いつの話だ」


余裕を見せるような口振りで言うが、銀時の体にはどんどん斬られた傷が付いていく。殺らなければ殺られるのを一番知っている筈なのに、銀時は高杉に刀を向けない。受けるのみだ。だが、やられているとはいえ、致命傷は負っていない。
両者共に、戦の猛者だったのだ。その猛者同士の一騎打ちは長く続いた。しかし、傷一つない高杉と、致命傷ではないが傷を負っている銀時とでは、優劣は次第に傾いていく。


「くっ…」


遂に銀時は四肢に疲労が溜まり、足元がフラついて地面に仰向けに倒れ込んだ。そしてその瞬間、自分を護る為の唯一の刀を手放してしまった。
すかさず銀時に馬乗りになる。高杉は刀を高く振りかざした。
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