続・妄想

□次もまた
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「俺が勝ったら、何か喰わせろよ」

「えぇ〜、俺が勉強なんかで勝てる訳ないじゃないですかぁ〜」

「別に幻の珍獣の肉食わせろっつってる訳じゃねェだろ。やってみねェと分かんねェって。嫌だったら勉強頑張れよ。」


これがテスト前の会話。テストの点数を争うというものだ。
山崎は勝ち目の薄い勝負を無理矢理買わされて、仕方なく勉強に打ち込んだが、土方は学年でも沖田と上位を争う優秀者。山崎は惨敗とも惜敗とも言えない点差で負けてしまった。


「負け戦したようなもんですよ」

「だが男に二言はねェだろ。今日は付き合ってもらうぜ。ちょっと悪ィが、ここで待っててくれ」


これがテストが返却された日の、放課後の会話。付き合うとは恐らく何か奢らせるという意。そう解釈している山崎と土方は、罰ゲームに付き合う、という意味ではなく交際という意味で二人は付き合っていた。
だから、一見すればただの友達が遊ぶ光景に過ぎないが、殆どデートだ。だが何故、今すぐに行かないのかというと、風紀委員副委員長の座についている土方が

「テスト明けに弛む生徒の何とかかんとか」

の委員会会議があるから。
「なんとかかんとか」
の部分まで山崎は詳しく覚えていない。山崎も風紀委員ではあるが、今回は参加しなくていいのだ。土方を見送った山崎が自分の席に座って、大人しく待つこと5分。


「すぅ……」


爆睡。
一応テスト勉強はしていたのだ。疲れがたまっていたらしい。
土方が委員会から帰って来たときも、当然山崎は夢の中だった。


「なんだ…寝てんのか」


まぁ無理もないだろう、と、土方は起こさずそのまま山崎の寝顔観察をすることにした。机に伏せて寝ている山崎。その前の席に、後ろを向いて座っている土方。
そっと頭を撫ででも規則的な呼吸は途切れることなく、僅かに見える顔は熟睡しているのが分かるようで更に起こしにくくなった土方だが、ひょんな事で山崎は起きた。
土方が山崎を撫でるのを止めたからだ。山崎は少し唸って、顔を上げた。
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