続・妄想

□飼い主に
1ページ/10ページ

 
「そんなに睨まないの」


銀時はニコニコと頭を撫でた。


「噛むのも駄目だって。ホラホラ、ちゃんといい子にしろよ」

「がうぅ…」

「そんな喉鳴らしちゃって」


今度は顎の下をくすぐるように撫でた。
相手は


「ね?高杉」


銀時の所為で喉を鳴らし呻り、銀時を威嚇するように睨む高杉は、硬い質の毛に覆われた大きく尖った耳に、同じく硬い質の毛がツンツンと立った太く長い尻尾、そして指先には人間のものとはいえない鋭い爪と、口元には鋭い犬歯が光っている。


「マジで狼みてェだ」


銀時が高杉に仕掛けたものは、天人から流れてきた薬。半狼化してしまうという、厄介なもの。


「高杉にピッタリ」


首輪で繋がれている高杉は、首輪の鎖がギリギリ届かない位置にしゃがんで、高杉をからかっている。見た目と同じように、脳まで半分を薬に侵されている高杉は、ただ銀時に警戒心剥き出しな猛獣になってしまっている。


「殺んのかテメェ!!」


犬歯をギラギラと光らせて、動物の機能と人間の機能の両方を持ち合わせた高杉は、銀時に噛み付こうとする。本能は野生動物といった様子だが、半獣化せずとも元々高杉はそうである気がする。


「ヤってあげるけどね、殺んなくていい」

「あぐぅ…」

「っつーかあんま爪立てないでくれる?」

「うっせェ!!」

「えらい勢いの良い犬だな」

「黙れ!!」


柱に繋がれた高杉は、鎖ごと柱を折り倒さんばかりの勢いだ。
そんな高杉を簡単に押さえる事は容易ではない筈だ。
そこでどうしたかと言うと。


「高杉」


銀時は高杉の爪にに引っかかれるのも気にせず、高杉を抱き締めた。


「何だよッ、触んじゃねェっ」

「よしよし、いい子いい子」


勿論高杉は暴れるが、銀時は頭と同時に耳を撫で続け、高杉を落ち着かせる。


「がぅ……ふぅっ…ぐ…」


暫くすると、動物の本能が治まってきたのか、高杉は息は異常に荒いが、銀時に身体を預けてくる。
その時。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ