続・妄想

□何故だか
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「……あの〜、そろそろ離れてくれます…?銀さんどうすればいいか分かんないんですけどォ〜…」


言いながらやんわりと手を離させると、神威は大人しくそれに従った。コイツが俺の言うことを聞くとは思わなかった。
俺よりも少し背が低いのに、顔を上げずに目線だけよこすもんだから自然と上目になる神威は、俺の気の所為だろうが、というかそうであって欲しいが……
頬が赤くなっている気がする。照れている気がする。さも俺に恋する女みたいに、なんかこう…俺が耐えられないような目線を俺に向けている。
自意識過剰じゃねェって!!マジで!!銀さんこの子が怖いんだけど色んな意味で!!


「あの…何か用…?依頼?はは……まさかな…。」

「あのね、お侍さん。俺、お侍さんのことばっかり考えてたら、ここに来たくなっちゃったんだけど…どうしよう?」

「いや…どうしようって言われましても…」

「少なくとも殺りに来たんじゃないから、そんなに堅くならないでよ。」


俺、コイツが分からねェ。


「殺りにって言うより、ヤられに来た感じかな。そうだお侍さん、俺をヤってよ。いいでしょ?」

「いや、良くねェよそんな明らかにたった今考えた思い付き。何なんだよマジで」

「 意地悪しないでよ…」

「してねェけどよ…」


その後神威は俺の手を引いて、家の中に上がり込む。そして夜だから敷いてある布団の上に俺を、押し倒「させた」。


「な、何?誘い受け?」

「いいから早く。多分俺、こうして欲しかったんだ。今、ドキドキしてるもん」

「自分でさせたくせに?…っつーかンな可愛い事言われても……」


俺はどうすればいいか分からないの連続で、退こうと思ったが神威にずっと見られていてはそれすらも出来なかった。蛇に睨まれた蛙状態だ。動いたら殺されそうだもん。
俺は少しの間そのままで居た。その少しがとてつもなく長く感じた。何もしない俺に痺れを切らしたのか、
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