続・妄想
□これまでの …動物編
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「金時、この前はすまんかった」
「え?」
今日はこの「え?」のセリフが多い。
坂本は俯きながら続けた。
「怒らせてしまったお詫びに…」
「お前…謝る気ねェだろ。何処の誰が金時だコノヤロー」
静かに怒る銀時。
「…コレば持って来たきに、食べてくれんか」
ここで坂本が銀時に差し出したのが、ペロペロキャンディー。詫びだと称して持って来たものが、まさか銀時に変化をもたらすなどつゆ知らず、銀時は目を輝かせてそれを受け取った。甘味に目がない。単純である。
「食っていいのかっ?」
「勿論じゃ。おんしの為にぜよ」
「マジでか!じゃあ遠慮なくいただくぜ」
銀時は包みを開けて、その名の通りに、ペロペロと舐め出した。
「美味いがか?」
「やっぱ美味いぜペロペロキャンディーは。小説でも世話んなってるしな。辰馬、ありがとー」
子供のように無邪気な笑顔を見せる銀時。坂本も思わず顔を綻ばせた。
しかし、これは坂本の作戦である。何食わぬ顔で作戦を黙々と遂行する坂本は、銀時に尋ねた。
「何味じゃ?」
「味?うーん…甘いけど…レモンっぽい」
甘いのにレモンとは不思議な表現だが、この味は重要なのだ。
そして坂本は続けた。
「それはそうと銀時、今日はわしの船に来んがか?」
「え?」
「偶にはよかろう?それに」
「それに?」
「このままじゃ此処には居にくくなる筈じゃき。これから何か用事があるがか?」
「居にくく?用事は…ううん、ないけど」
「それなら決まりじゃ。今日はおんしが来る番ぜよ」
「…そうだな、偶にはいいかも」
そう言う訳で、銀時は万事屋を出た。
その時にはもう、体に変化が始まっていたが、新八と神楽に完璧なポーカーフェイスを出来る坂本は、銀時にも勿論出来る訳で、可愛いパーツが発生しているのも、全く気付かれないまま快援隊の船に連れ込むことに成功した。