スタウル☆
□何もない宇宙の片隅で
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「・・・」
『アンジュ・・・アンジュ・・・!』
「・・・パパが呼んでますね」
「時間だ。もう行きなさい」
「また、会えますか?」
「・・・多分・・・ね」
「アンジュ!!」
「・・・夢?」
見慣れたドア、ごちゃごちゃな本棚、そして大好きなパパがいた。
「随分うなされていたが、大丈夫か?」
「え、ええ・・・」
「そうか。ウルフが今度の任務にお前を連れていくそうだ」
「本当ですか!?」
「ああ。本当だ」
(よかった・・・幸せになれないなんて・・・嘘、ですよね・・・?)
「その考えがいけなかった。その考えが私を狂わせた。あの瞬間から私の運命は決まっていたのだ」
闇に包まれている男。白い世界でアンジュに話しかけていた男だ。
「そうさ。私がベノムの[皇帝]になるのは最初から決まっていた事なんだ・・・」
ここは未来のベノム。闇に包まれ、生き物の気配もしない。
彼の近くに鎖で繋がれた痩せ細った男がいた。
白い毛、細長い身体、黄色のスカーフ、赤と黄を基調とした服・・・。
未来のアンドリューだ。
すでに魂が抜かれたような顔つきで焦点の合わない目で[皇帝]を見つめていた。
「パパ・・・。そうだね。これは私が望んだ事。変えるなんてとんでもない・・・!」
そう[皇帝]の正体は・・・。
「我が名はアンジュ・オイッコニー。闇に生きる者!!!!!」