連載「花が咲く瞬間は…」

□第一章 男性恐怖症
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この女は……。

「…………」


「あ、あの…!」


どういうことだ…。


一体、何が起こっているというんだ…。





「霧生翼です!よろしくお願いします!」










     ≪第一章 男性恐怖症≫










「景吾、お前に紹介したい娘がいる」

「父さん…」

「はははっ、心配するな。見合いの話ではないぞ」

「………」

学校も部活も無い土曜日の昼過ぎ。

珍しく父親が俺の部屋を訪ね、大広間に呼んだ。

話によると紹介したい奴がいるらしい。

俺は、てっきり見合いの話かと思ったが、どうやらそうではないらしい。



「ほら、入りなさい」



「し、ししし失礼、しますっ!!」



なんだ………この女……。





「母さんの知り合いの娘さんだ」

母さんの知り合い?

「2年ほど前に両親が他界している」

覚えている…。

2年前。

俺の誕生日の日。

母さんは、知り合いが亡くなったとかで外出した。

正直、誕生日を祝ってもらうような歳ではなかったから気にしていなかったが…。

そのときの…か。

…両親………ということは一人なのか…?

「最初は、親戚が預かっていたらしいんだが、いろいろ問題があってな」

問題?

女のほうを見ると、ただ一心にこちらを見ていた。

しかし、目が合った瞬間に思いっきり逸らされた。

僅かながらショックを受けたが、とりあえず父さんの話を聞く。


「しばらくココで預かることになった」

女は、必死に俺の目を見ようと顔をこちらに向けるが完全に手が震えている。

「あ、あの…!」

そんなガクガクな状態の女。

「霧生翼です!よろしくお願いします!」



俺は、今日からこの女と暮らすことになった。
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