短編小説@
□本性
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ちょっと不器用で可愛い私の彼氏。
天才なんて異名、嘘なんじゃないの?
「忍足くん、貴方が好きです。付き合ってください」
つい数ヶ月前、私は忍足くんに告白した。
忍足侑士…。
学園でかなりの人気を誇り、顔良し、頭よし、運動神経だって悪くない。
だって、あの200人以上いるテニス部のレギュラーだ。
「…霧生さんだっけ?興味本意はやめてくれへんか?」
「興味本意?」
「興味本意で告白されて、後から幻滅されるのは勘弁」
意外だった。
忍足くんがこんな断り方をするなんて…。
聞く話だと…。
忍足くんは、好きな人がいるから告白を断っていたと聞く。
それを承知で告白したのに…。
こんな断られ方をするなんて、予想外だ。
「あの、私!興味本意で告白したつもりはありません!」
「じゃあ…何?」
なんか…いつもの忍足くんじゃない…!
違う違う違う。
忍足くんは…忍足くんは…!
「私は、忍足くんが…好き、だから…」
「霧生さん、今めっちゃ怖がっとる」
「…え」
温厚で優しい忍足くんからは、想像出来ないほどの冷たい目。