短編小説@
□マリオネット
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私は、彼に操られている人形。
決して彼には逆らえない。
心を奪われ、自分で動けなくなってしまった…。
私は、あなたのマリオネット。
「はぁ…今日も返ってこない…」
きっと忙しくメール出来ないだけだ。
そう言い聞かせて、私は夜空を見上げた。
これで何度目だろう。
連絡が途切れて、もう2ヶ月は経つ。
彼からの連絡がない日は、いつもこうして夜空を見上げてため息ばかり。
「景吾…」
もっと私を見て欲しい。
もっと私を見て…!!
昔はこんなことなかった…。
私も彼も、まだ小さかった頃。
親の事情で小さい頃からよく会っていた私たち。
そんな頃から、私は小さいながらに彼を愛していた。
「だいすきっ!」
会う度に言って、精一杯の気持ちを伝えていた。
彼も私のことを好きだった。
だから、彼がイギリスに行くと決まった日、約束したのだ。
ずっと私の景吾でいてね
でも…彼が私のもになったことなんて一度もない…。
彼は自由で、一人で踊れるから。
私は…?
私は、もう彼のものだ。
一人じゃ踊ることは愚か、立つことすら出来ない。
彼の人形。