短編小説ⅰ
□本性
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「そない怯えて…」
「あ、あの…！これは…！」
忍足くんって、こんな人だったっけ？
「霧生さんは、ちっとも俺を分かってへん」
「忍足くん…」
「幻滅したやろ？」
興味本意。
確かに、私の告白は興味本意だったのかもしれない…。
でもね…期待しちゃうよ？
今まで、好き人がいるから、って告白を断ってきたのに…。
私にだけ、こんな風に本性剥き出しにして…。
「せやから、もう…」
「忍足くん」
「幻滅してない、って言ったら付き合ってくれる？」
これは賭けだ。
私の賭け。
「ちょっと驚いたけど、幻滅なんてしてないよ。忍足くんが好きだよ」
「は？」
「だから、付き合ってください」
お願いしてもう一度頭を下げる私に、忍足くんはなんだか戸惑っていた。
「でも、俺こないなんだし…」
「好きな人、いるの？」
「……おるっていうか、目の前におる」
賭けは私の勝ち、みたいだ。
忍足くんは、ただ不器用なだけ。
いままでのイメージとちょっと違うなぁ～。
なんか、可愛いよ。
「じゃあ、付き合ってくれる？」
「えぇーよ」