短編小説@
□片思いは切ないだけじゃない
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「でも、翼のは憧れでしょ?」
「…え?」
ふと友達が冷たい目をした気がした。
「別次元にいるアイドルに憧れてるだけ、ちゃんと恋愛したほうがいいよ?」
冷たい目は、どこか私を軽蔑してるようにみえた。
「違う…憧れとかアイドルとか…そんなんじゃないよ…」
跡部様は、アイドルなんかじゃない。
王様なんだよ。
王様は、国民のことをちゃんと理解していて、国のことを一番に考えてる。
とっても偉くて、とっても強い人間なんだ。
「いい加減、ちゃんと現実を直視したほうが…」
「私、跡部様のこと好きだよ」
「だから、それは…!」
「ちゃんと好きだよ、片思いだけど、ちゃんとした恋なんだよ?」
友達は、呆れた表情で去っていった。
怒らせてしまったかな…?
でも、私だってあまりいい気分じゃないよ。
「振り向いてくれなくても、それが恋である限り、恋愛なんだよ」
片思いは、辛いこととか悲しいこととか、いっぱいあるけど…。
ウキウキして、楽しい気分になれるんだ。