短編小説@

□チョコレートは甘くて苦い
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最初から、こんな関係だったわけじゃない。

付き合って半年ぐらい経ったが、最初はもっとベタベタしてた。

周りから、甘すぎて胸焼けがする、と言われるほどに。

なのに…今はベタベタできない…。

私は、もっと侑士とベタベタしたいのに…。



「侑士…」









「んで、俺んとこに来たのか?」

「ちょっとは、協力してくれるよね?」

「………う〜〜ん、どうしようかなぁ〜〜」

「がっく〜ん!」

私は、侑士のパートナーである向日岳人のところにきた。

きっと彼なら、協力してくれるはず…!

「明日ジュースおごりな!」

「わ、分かったわよ!!」

ひどい…がっくん…。

今、かなり金欠なのに!



「そもそも、侑士が冷たいのって当たり前じゃね?」

「え?」

「だって、侑士だろ?」

「でも…最初はあんな冷たくなかったよ…?」

「お前は優しい侑士がいいのか?」

「…………」

優しい…侑士…。

侑士は誰にだって優しい。

とくに女の子には気を使うタイプだ。

でも、それだけが侑士じゃない。

「アイツ、最初はあんな風に笑う奴じゃなかった」

「……」

「ただの人見知り…かな?って最初は思ったんだ」

「違ったの?」

「うん」

珍しく真剣に話をするがっくんに、私は吸い込まれるようだった。

「侑士って、あんまり頑張れるタイプじゃないんだ」

「…頑張れるタイプじゃない?」

「だから、気長に待てばいいよ」


 
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