短編小説@
□マリオネット
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「痛い…」
痛いよ…景吾…。
痛いのは心…。
今の景吾は、私を見ていない。
帰国した日。
私は真っ先に彼の胸へ飛び込んだ。
彼は私の頭を撫でて、優しく微笑んでくれた。
ただいま翼
あれからは、会えなかった時間を埋めるように一緒にいたのだ。
ずっと。
何度も抱き合って、何度もキスして、何度も愛の言葉を囁いた。
なのに…!なのに…!
自分から会いに行けばいい。
学校も一緒だし、家だって遠くない。
会おうと思えば会える。
でも、踏み出したら失いそうで怖い。
メールしても、電話しても、繋がらないのだ。
会いに行ってどうする…?
拒絶されるのは目に見えているんだ…。
「会いたいよ…会いたいよ…景吾…」