短編小説@

□It's a Brand New Day!
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その後、忍足くんとアドレスを交換し、一緒に帰った。

忍足くんは、終始クスクス笑っていたけど、私はそれどころじゃなかった。


これって、どういうことなんだろ…?


勢い余って告白しちゃったけど……。

“付き合おう”と了承してくれたわけじゃない。

ただ“遊びに行こう”と誘ってくれただけだ。


で、でも…ちょっと、いやかなり私舞い上がってる…。




忍足くん。忍足侑士くんは、去年の春に転入してきたようで、氷帝は中等部からだと聞いている。

スポーツが得意で、勉強も出来る、容姿端麗で女子にも人気がある。

憧れの人で、私の…好きな人。

忍足くんはテニス部で、私も何度か見学しに行ったことがある。


1年生の頃から、ずっと好きだった。

まだまだ知らないこともあるけど、忍足くんを好きになった。

これから、もっといろんな忍足くんを知って、もっともっと忍足くんを好きになる。



「お、お待たせしました」

「そんな待ってへん、行こ」

冬休みに入って5日目。

忍足くんと二人きりでお出かけです。

正直、緊張しすぎて手が震えてる…。

「ん…」

「…え、手?」

「手…繋ご」

忍足くん、どうも私が寒くて手が震えているのだと思ったらしく、私の手を優しく握ってくれた。

ああ…今日、手袋してこなくて良かった…!

さっきまでポケットに入っていた忍足くんの手は、とってもポカポカで安心した。


「ねえ、忍足くん。今日はどこに…」

「映画館」

映画館か…、忍足くんってどんな映画を観るんだろ…。想像もつかないなぁ…。

そういえば、よく小説とか読んでるけど何読んでるんだろ?

好きなジャンルとかあるのかな…?


「“君に恋した季節”…?」

「ずっとチェックしとった映画や」

「これ見るの?」

「…いや?」

「そんなことないけど…。なんか意外だなーって…。忍足くんはこういう映画好きなの?」

「ん、好き」

へー、そっか…。忍足くんって意外と恋愛ものが好きなのか。

なんか可愛いなー…。



映画館に入ると、忍足くんはほとんど喋らなかった。

…というか、今日、会ったときからどこか口数が少ない気がする。

いや、もともとクールなイメージが強いけど…。

それでも、いつもはもっと笑ってる感じがする…。

なんだろ、なんか機嫌悪い…?
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