Falsehood

□Ignorant
1ページ/1ページ





ねぇ知ってる?



跡部は俺が嫌い。

忍足も俺が嫌い。

鳳も俺が嫌い。


俺も、その3人が嫌い。




「ねー岳人ー」


「んだよジロー」



「今日も跡部がさー、『俺様に不可能は無い!!』ってほざいてたー」



「あ、それ俺も聞いた。
不可能がないなら越前に勝てるだろって話だよな〜」


「だーよねー。
もう少し自分の発言を考えた方がいいと思うC〜」




俺も岳人も跡部が嫌い。



「あぁ、ジロー。

鳳の奴、また亮に媚び売ってたぜ」


「A〜。
亮ちゃん可哀想〜。

亮ちゃん俺達以外のこと嫌いなのに」



「だな。
でも亮は顔に出せねぇからさ。
鳳、嫌われてないと思ってるんじゃね?」


「あーそうかも」



俺も岳人も鳳が嫌い。





「…やっぱ、亮っていいやつだよな」


「うん。俺も思った」




俺も岳人も亮ちゃんは好き。



勿論、友達としてだけど。

流石に鳳みたいなホモじゃないし。

そういうのは、嫌だ。




でも、でもね。



一つだけ、亮ちゃんの事がわからないんだ。




「もしかしたら、だけどな。

俺さぁ、この状況好きかもしんね」



「この、状況?」



「あぁ、人の感情が渦巻いてる、この状況。

もしかしなくても、大好きかも」



「…へーんなのっ!

亮ちゃん、ヘーン!」



「あぁ、変でもいいよ」






少し前にしたこの会話。

俺はそんなに気にしなかった。

亮ちゃんは、亮ちゃん。


それだけで、俺は良かった。


あの事を知るまでは――。




Ignorant




俺は何も知らない。




初めは知っていた

つもりだった。



彼は彼で、俺は俺。

ただの、ヒト。
 
でも、根本的な思考が違った。


そのことに気付けなかった馬鹿な俺。



悔しかった、というよりも



納得した。


いつも、かれは―――で、―――だった。


俺は、まだ知らない。



(この事を知らない時の俺は)
幸せだったんだろうな)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ