狂イ咲キ

□3章 済
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「……雨か」




幸村の部屋からは、丁度外の様子が見える。


合宿所の全貌とは行かないが、大体は見える位置だ。





「来る途中の道は大分地盤が緩いように見えたぞ。

もしかしたら土砂崩れなどの可能性もありえる」




ぽん、と出した百合の花をいじりながら柳は呟いた。





「…確か道って崖の下だったよな。

帰り、通れなくなるんじゃねぇ?」





ベッドに横たわりながら宍戸が言う。


目線は天井に向けたままになっている。





「…まずいっすわ、それ」



「だな」




手塚と財前が、少し顔を上げる。




「場合によってはこの合宿が長引くかもしれない。
皆、進行が進んでる人に注意して。

それから、自分の体調と制御。

そこらへんきちんとしておいてね」






幸村が腕を組みながら全員に言い放った。






皆頷く。






「(…おかしいな。
今週の隊長は俺だったはずなのだが)」



手塚は心の中で疑問符を浮かべた。






「…国光」





「どうした蓮二」






「いや、なんでもない。

それより、お客さんだぞ」






柳の目が少し開き、足音のする廊下の方へと目を向ける。





「誰かなー?

フフッ!」




幸村の調子の良い声が彼らの耳に入ってきた。



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