短い妄想物語

□夜のドライブ
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「海…行きたいなぁ」

ぼそっと言った独り言。

「じゃあ行こっか!」

「え?いいの?」

「善は急げっていうだろ?
ほら夜だからなんか羽織るものとっといで」

もう夜9時を回った時刻。

もうすぐ夏がくる。

私は夏が待ちきれなくてふと
「海行きたいな」とつぶやいた。

本気で言ったわけじゃないのに
彼は行く気満々だ。

私は言われた通り
薄目のカーディガンを羽織った。

「上着きた?よし!じゃあ行こうっ」

「どうやって行くの?」

「俺のバイク!!」

ほい、ヘルメット
とヘルメットが渡される。

「俺、免許取ってから半年以上たってるから
二人乗りも大丈夫だぜ」

「あ、そうなんだ」

そんなルールがあるなんて知らなかった。

「俺絶対最初に乗せるのはお前って決めてたんだー」

「そうなんだ…」

彼の真っ直ぐな言葉に少し照れる。

「安全運転で行くけど
ちゃんと俺に捕まってろよ!」

ブルンブルーン

エンジンがかかる。

振り落とされないように
彼の腰に腕をぎゅっと回す。

「じゃあ行くぜー」

こうして私と彼の夜のドライブが始まった。


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