11/30の日記

23:02
見切り品のペコの千歳飴
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@hjok_shumari: 仕事帰りにスーパーに寄ると、見切り品のワゴンの中に千歳飴を見つけた。気付けばもうそんな時期を過ぎていたかと近寄ってみると、棒状の飴の二本入った袋にはあの、ペコ(敬称をつけるつもりはない)とかいうキャラクターが着物を着て描かれていた。ということはこれは総司の好きなあれなのだろうか。

@hjok_shumari: 総司はこのペコの絵の丸い飴が好きだ。なんの拘りかわからないがよく今日こそ最後まで噛まずに舐めると宣言してはすぐに噛んでしまい、歯に詰まったと言って爪でカリカリ取っている。これはそのペコの飴の棒版なんだろうか。だとすればあいつはこれが好きに違いないがこのペコの顔が気に入らない。

@hjok_shumari: 総司は白い食べ物より赤い食べ物を好む。見ればこのペコの千歳飴も紅白と書いてあり一つはイチゴ味のようで、だとすると奴はまず間違いなく白い方を一旦俺に寄越し赤い方を食べてからやっぱり白いのも食べると言うだろう。そこまでわかっているのだから買いたい気持ちはあるのだがこれは見切り品だ。

@hjok_shumari: 俺はこれまで見切り品のワゴンに手を出したことはない。別に安い物に頼らずとも金に困ってはいないからだ。これを手にしたら負けの気がする……見ろ、このペコのしてやったりという悪そうな笑顔。これを買うということはつまり敗北を意味する。見切り品のペコなどこの俺が手にするようなものではない。

@hjok_shumari: ワゴンを睨む俺の横から一組の親子が手を伸ばし、ペコの千歳飴を一つカゴに入れた。子供は小躍りして喜び、僕赤い方ねとはしゃいで母親の腕に纏わり付いた。……俺は見切り品のペコに負けた。いや、ペコに負けたわけではない。総司の喜ぶ顔に比べたら見切り品のペコを買うくらいなんだというのだ。

@hjok_shumari: 翌朝準備室のテーブルにペコの千歳飴を置いておいた。おはようございますと眠そうに入ってきた総司を振り返りもせず仕事に集中しているふりをした。総司はすぐに飴に気付いてソファに腰を下ろし、ペコの絵の袋をあちこちから眺めているようだった。「これどうしたんですか?」これか!だよな!これな!

@hjok_shumari: 危うく俺の方が小躍りして纏わり付きそうになったがすんでのところで思いとどまった。努めて冷静に「安くなってたからよ。好きだろ」と言うとあいつは自分のものだと判断したのかガサガサと開封し始める。別にそんな気になんねぇけど!という態度で振り向くと、総司はやはり赤い方の飴を握っていた。

@hjok_shumari: 「僕こっちがいいです。土方せんせは白い方ね」バッケロゥ!両方おまえんだよ!!と思いながらも好きにしろと言うと、あいつは個包装の袋を破って赤い方の飴をぺろぺろと舐め始めた。ぉおおおこれはどういう眺めだ……いやらしい音させやがって。クソッ……ペコめ、なんて舐め方をさせやがる。

@hjok_shumari: ちゅぽんちゅぽんと卑猥な音をさせて総司は一生懸命舐めていたが、なかなかどうしてその飴は減らなかった。予鈴が鳴り、仕方なく飴を袋に戻すと後でまた舐めると子供のようなことを言って立ち上がる。待て待て待て、喜びの舞はどうした。まだ俺は纏わり付かれてねぇぞ!?そう思った時だった。

@hjok_shumari: 総司の手が俺の肩に置かれ、ふっと顔が傾いて唇が重なった。溶けた飴のたっぷりついた唇は甘く、顔が離れると同時に2人とも自分の唇を舐めた。「なんか……変な気分になる」そう言い残して準備室を出て行く総司の背を見送り、思いっきり変な気分にさせられた俺はあいつの置いていった舐めかけを見た。

@hjok_shumari: 小学生の頃好きな子の縦笛をこっそり舐める奴がいて問題になったものだが当時全くわからなかったその気持ちを今更わかってしまった俺はどうしたらいいのだろう……待て、やめろ…舐めたらアカンという歌が頭を回る。やめろ……!
この後俺が総司の舐めかけをどうしたかは御想像にお任せする。 #土沖

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