12/30の日記

13:49
函館旅行での妄想
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@hjok_shumari: 吹雪く海原を部屋の窓から眺めていた。あなたを追って辿り着けず、想いを遺して僕は死んだ。かつて睨んだであろうこの白波を、水平線さえ覆い隠す雪の嵐を、あなたは今僕の隣でのんびりと眺めている。本当に、思い残すことはなかった?だから僕を忘れたの?胸のわだかまりに真っ白な雪だけが積もった。

@hjok_shumari: 吹雪の中を風上に向かい、二羽のカモメが飛んでいく。まるで昔の僕らのようで、言葉が勝手に溢れていた。「何も、思い出しませんか……」かつてあなたの討ち果てた、函館の雪を見ても尚……

@hjok_shumari: 「おまえと初めて会った日も、こんな凄い雪だったな」あの人の呼び起こした記憶は、ほんの数年前のもので。入試の日に降った大雪を、僕もふっと思い出した。
この人は僕を覚えていない。運命と悟ったあの恋を、死してなおと誓ったあの契りを、長かった黒い髪と共に無情にも切り捨てたというのか。

@hjok_shumari: あの人は照れて俯き、少し躊躇ってから恥ずかしそうに言った。「野郎相手に一目惚れなんてな」吹雪が一層強くなる。僕の目からは涙が零れて、荒れた海の水平線も、僕の心の稜線も、全部形を見失ってただ真っ白に滲んでいった。この人の中の僕の記憶はほんの数年分で、数年分の僕しかこの人は知らない。

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