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□下心?いいえ、恋心です
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俺の好きな人、名前。


そんな俺の気も知らないでコイツは俺に恋の相談なんてしてくる。



そして今日も呼び出された。



どうせ彼氏の愚痴でも聞かされるんだろう。











夕方になり、俺はいつも名前と会う店へ行った。

個室で酒も呑める良い店だ。


いつも自分から呼び出すくせに遅れて来る名前。


今日もどうせ遅れて来るだろう、といつも使う奥の個室へ向かった。




個室に入ると誰かが居た。


名前だ。


「お前、今日は早いじゃん?」


からかってやろうと名前の向かいに座り、話しかける。


「…。」


けど反応は無くて。
よく見ると名前は泣いていた。


「っ?!ちょっ、名前、どうしたんだよ!」


普段涙なんか見せない様な奴だから尚更焦った。


名前の隣に座り直し、それからどうして良いのか分からなくてとりあえず頭を撫でてみた。
名前が落ち着くのを待ちながら。


「明王…。」


しばらくして名前が口を開いた。


「私…浮気されちゃった…。」


「…は?」


ムカつく。名前にじゃない。浮気した男に。


「…朝から何か怪しくて、出掛ける時に着いて行ったら女の人と…っホテルに…。」


そう言って肩を震わせながら泣く名前。

何だその男。まぁ名前とホテルに行かれるのはもっと嫌だけどよ、こんな可愛い奴を差し置いて他の女と。
いや、でも俺からしたら好都合だ。



「泣き止めよ…。」


名前の涙を拭ってやり、片手で顎を持ち上げる。


「…あき、お?」


「じゃあさ、名前…俺と浮気しようぜ。」


「え、」


頬を赤らめる名前にそっと口付けを落とした。




マイナスからの恋愛、そんなのも有りだろ?


END

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