BL短編の小部屋
□ケンカ
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「おまえ最低っ」
朝教室に入るなり、物凄い力で俺の腕を掴むと、異議を唱える隙も与えて貰えず、月城にグイグイと3階の踊り場まで連れて来られた。
「なっ……なんだよ!?」
ムッとした顔で睨み付けられ、ちょっと足が竦むけど、そんなのお構いなしに月城は俺の体を突き飛ばし、壁に押し付けた。
「おまえ最低っ」
「だから、何がだよっっ!!」
優に10センチ以上上にあるその顔を睨み返すと、事もあろうにヤツは小さく笑った。
その顔が如何にも楽しそうで、余計に腹が立つ。
「そんな顔して睨んだって、全然怖くねぇよ」
「うっ……うるせぇー!!なんでおまえそんな怒ってんだ?俺、なんかしたかよ!?」
金曜に別れた時は普通だったし、次の日の夜こいつから掛かって来た電話もいつも通りのものだった。
間一日挟んだたけで、この不機嫌さは、尋常じゃない。
「なんかしたか?そりゃこっちが聞きたいよ。おまえ、昨日の夜何してた?」
「昨日?別に……アニキとカラオケ行ってたけど……」
「携帯の電源切って、アニキとデートか?」
言われてハッとした。
家に携帯を忘れてカラオケに行き、帰ってみたら充電が切れて電源が落ちてて、それを充電機に載せ風呂に入り、そんで、メールも着信もチェックせず、夕べはそのまま寝てしまっていたのだ。
「もしかして昨日電話くれた?」
「電話もメールもした。けどおまえ出ないし、返事も寄越さない。浮気って思うの当然だろう?」
「浮気ぃ?なんでそこまで話が飛ぶんだよ。電話かけなかったのは俺が悪いかもしんねーけど……アニキと出かけてたのはほんとだし。それでいいじゃん」
話は終わりと、行こうとしたら、手加減なしに両肩を掴まれ、再度壁に打ち付けられて、背中や肩に鈍痛が走る。