BL短編の小部屋
□遼一&郁己 幸せいっぱいの涙
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「いくぞ、郁己?覚悟はいい?」
クラスメートで前の席の友人、宏明が白い歯を光らせ俺に言う。
「い……いいよ。お願……早くっ」
俺は貸して貰ったタオルをギュッと握り、目を閉じた。
「おまえ、震えてる?」
掴まれた肩が微かに震えていたらしく、目を瞑っていても宏明の動きが止まったのが判った。
「いいから…早くして……痛くても我慢するから……一気に…して?」
必死で懇願する俺を尻目に、緊張を突き破る勢いで突然宏明が吹き出した。
「プーーッ。クァッハハ〜。おまえなんかそのセリフやたらHクセーよ……マジでウケるしぃ〜」
見れば目尻にうっすら涙を溜めて爆笑している。
「ふざけてないでよっ!俺真剣に緊張してんだからっ!!」
なんでこんな奴に頼んだんだろぅ……たった数時間前の出来事を、俺は早くも後悔し始めていた。