BLシリーズの小部屋

□もり&聖シリーズ シアワセノトキ
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「んっ……?」


聖ちゃんの部屋に押し掛け、会えなかった半日を取り戻そうと、腕に取り込んだ瞬間いつもと違う甘い匂いがした。

この人はいつだってとろけそうに甘い香りがするけど、それとは違う、もっと鼻に付く匂い。

香水?


「も……り?」


細いカラダを抱えたまま、何もしようとしない俺を、腕の中から不思議そうに見上げられ、笑って見せる。


「今日、誰かに会った?」
「そりゃ大学でいろんな奴に会ってんだろ?おまえナニ言いたいの?」
「違くって」


誰かに会って、
誰かの匂いが移るような事、


したの?


「はっきり言えよ」
「浮気……した?」
「はぁぁぁ?」


顔に似合わない素頓狂な声を上げ、嫌そうな目で睨まれる。


「なんだそれ。おまえ俺のこと疑ってんの?」


怒らせた?
そう気付いたってもう遅い。

遅いけど、口に出した事に後悔はないよ。

俺、こんなにあなたが好きだから、
ちょっとは自覚して欲しいんだ。


「浮気なんかしてねえよ……ばぁか」


もごもごと不明瞭に言われ、また睨まれる。


「突然何言いだすかと思ったら、ばか野郎」
「してないなら、いいんだ。ごめん」


素直に謝って、逃げようとする往生際の悪いその肩をギュッと引き寄せる。

細い顎を上向かせ、遊びみたいな触れるだけのキスを繰り返し、チュッと唇を離すと、とろんとした目で見つめられた。

たぶん、睨んでるつもりなんだな。


「もっとしたい?」


わざと意地悪く訊くと、おまえがしたいならしてもいいよ……なんて更に上を行く意地の悪さで返され、思わず笑みが洩れた。


「したいよ。いい?」


返事を聞く前にも1度唇をぶつけた。

唇を合わせたのは俺からで、舌を差し入れて来たのは聖ちゃんから。

ほらね、嫌なんかじゃなくて、して欲しいのはあなたも一緒でしょ?

言葉には出さないくせに、カラダでは一杯語ってくれる。

だからもっともっと、あなたとしたいよ。

絡め合って、
確かめ合って、
貪り合う。
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