BL短編の小部屋

□綺麗な言葉
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10月の夜風は意外と冷たくて、自然早足になりながらひなたの待つマンションへと急ぐ。

月を見上げる余裕も、車道を通り過ぎる車に目をやる余裕も、一人ぼっちの俺にはないから足下のスニーカーを睨みながら、黙々と歩き続ける。

仕事を終え家路を急ぐこの時間は疲れがピークに達し、神経は張り詰め気分が落ち着かない。

本当なら今すぐこの腕にひなたを取り込んで、その匂いから体温から感触から、すべてを隅々まで確かめたい。

それでもひなたは俺以上に不安でいるだろうから……
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