オリジナルNovel
□ATONEMENT3
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第一章 命の残量
あのジメジメとした地下牢の中に僕はいた。
毎日毎日、仲間がいなくなっていく。
父も母も、親友も、みんないなくなっていった。
次に出会った時、みんな人間じゃなくなっていた。
そして、残酷な言葉を吐いた。
彼等に。
エリザに……。
とある町の酒場にて、白磁めいた肌と銀色の眼を持つ者がカウンターに座っていた。
頬杖をつきながら、何かを考えているようだ。
「スィン、スィンってば!」
名前を呼ばれ、スィンが顔をあげる。振り返ると、まっすぐな金髪と、翡翠の眼をした女性が立っていた。
「イリア……何?」
「何? じゃないよ。話聞いてきたの?」
「ああ、うん。黄の伯爵についての情報はあまりなかったよ。そっちは?」
「こっちも全然」
「そう」
イリアが隣に座り、「マスター、何か軽くつまめるものください」とマスターに料理を注文する。